Cloudブログ

World Tour Tokyo 2016リポート-Salesforce Einstein

2016年サンフランシスコで開催されたSalesforce最大の祭典、Dreamforceにて発表されたAI 、アインシュタイン。World Tour Tokyo 2016では、アインシュタインの開発責任者であるリチャード・ソーチャー氏による、開発者向け講演がありました。

img_0047-300x2252016.12.14 開発者向け講演@虎ノ門ヒルズの様子

アインシュタイン(正式名称「Salesforce Einstein」)とは、SalesforceがCRMサービスの中核に置くAIのことです。アインシュタインにより、Salesforce導入企業およびユーザは、AIによる予測分析を利用して、よりスマートに意思決定できるようになることが期待されています。

このブログでは、その内容と感想、今後の展望について、私見を交えつつ紹介していきます。

巷では、「AIによって人間の仕事が奪われていく」というネガティブな話題が多いですが、まずは、今のAIに何ができるのかをデモを通じて見てみます。

AIといえば、「人工知能」ということで、ユーザの気分を察知して、今オススメの商品や見るべき映画などを提案してくれるモノを想像するかもしれませんが、最初にデモとして紹介されたのは、AIに三角屋根と平屋根の建物の写真を各100枚読み込ませて学習させた後に、日本の五重の塔の写真を読ませて、屋根の形状を判断させるというものでした。
もちろん、AIは「三角屋根」と回答するのですが、その回答方法が「99%三角屋根だ。」という風にパーセンテージで答えているのが印象的でした。

次は、ある映画に関するネットの書き込みを読み込ませて、内容が好評か悪評かを判断させるというものでした。デモでは英語でしたが、日本語ではおよそ次のような内容です。
「小学生ならば、今年一番感動した映画だと、全員が絶賛するだろう。」
この文章には、どこにもネガティブな単語は混じっていませんが、AIは、人間と同様にこの文章を悪評だと判断することができる。というものでした。
このデモは、今まで人間が都度チェックしていたサポートや掲示板への書き込みを、AIが文脈から正しく判別して、悪評への対策をユーザに促すことができるサービスが、もう実用レベルまで来ていることを教えてくれています。

これら2つの例だけを見ても、今後AIは機械学習を繰り返して、どんどん判別の精度を上げていくでしょう。その学習スピードは、10年前にはたいして強くなかった将棋AIが、今やプロ棋士を打ち負かしていることからも容易に想像がつきます。

ソーチャー氏によると、「AIを発展させるために、今は、とにかくたくさんの屋根の写真や映画の評価をAIに読み込ませてほしい。そして、AIが返した答えに対する感想をフィードバックしてほしい。」ということです。
AIに実データによる学習を繰り返させて、その精度を上げていくのが現在のフェーズのようです。

img_0046-300x225
2016.12.14 WTT2016@虎ノ門ヒルズの様子

では、実際にAIによって仕事が奪われていくのか?
これは私見ですが、自動改札機の登場によって人間が改札業務から解放されたように、AIの進化によって、ネットの書き込みを実際に読んでチェックするといった作業は、今後AIが担ってくれるでしょう。これは、馬が自動車に取って代わられたのと同じことで、次の言葉にまとめられます。

「技術(AI)の発達により、機械にできる仕事から人間が解放される。」

「奪われる」か、「解放される」か、の表現の違いですが、駅の改札業務も書き込みのチェックも機械がやってくれるのであれば、私は(単純作業から)「解放される」と考えたいと思います。

もう1点、AIの進化によって解決される問題があります。

小説「ソフィーの世界」に出てくる話ですが、西欧のいわゆる「神話」は、科学的に説明できない事象を、なんでも「神のせい」にして説明していました。
例えば、「12月になると冬の精が現れて、雪を降らせる。」「神の怒りが火山を噴火させた。」というような話は、今では科学的に説明されるので、ファンタジーでしかありません。

現代でも、「神の祟りによる奇病」「マグロの居場所を当てる天才漁師の勘」など、まだまだ科学的に解明されずに「神のせい」にされている事象は多数ありますが、ビッグデータとそれを学習して判別するAIによって、次々に解明されていくことが期待されます。

現代に残る謎を解明して人類が抱える問題を解決し、ファンタジーは読み物として楽しむ。私は、科学の発展を後押ししてくれるものとして、AIを積極的に受け入れていきたいと思います。

About Fujimoto Kenta

Fujimoto Kenta

ゲーム開発を経て、2010年からSalesforceの世界に身を置く。 「資格だけは取っておけ!」という親友のアドバイスに従い、上級Dev,上級Admin, IPAシステムアーキテクト,ITストラテジストなどを取得。日々の業務に活かしています。

Appirio